トレーニング指導をする際、「場所や器具の制限で思うようなトレーニングメニューが実施できない」ということはないでしょうか?
スポーツのパフォーマンスアップにおいて、適切に負荷をかけたトレーニングを行うことはとても重要です。
「パートナーレジスタンストレーニング」は、ウエイト器具などが使えない現場でも自重トレーニング以上の負荷をかけたトレーニングが可能になります。
この記事では、パートナーレジスタンストレーニングのメニューを部位別に9個ご紹介します。
パートナーレジスタンストレーニングができるようになると、どんな場所でも効果的なトレーニングができるようになりますので、ぜひ参考にしてください。
目次
パートナーレジスタンストレーニングのセミナー動画
この記事は、2019年11月に行われた「パートナーレジスタンストレーニング」セミナーの要点をまとめたものです。
パートナーレジスタンストレーニングを動画で学びたいという方は、こちらからセミナー動画をご覧ください。
※セミナーの前半部分を無料でご覧いただけます。
※「トレーナーズアカデミー会員(初月無料)」に入会するとセミナー全編をご覧いただけます。
パートナーレジスタンストレーニングとは?
パートナーレジスタンストレーニングとは、「自分自身の体重だけでなくパートナーの体重を使うことで、より高負荷な体感トレーニングを可能にする」ものです。
器具を使わずに実施できるため、環境を選ばずに負荷の高いトレーニングを実施できるというメリットがあります。
しかし、実施する側・負荷をかけるパートナー側の両方に、ある程度の技術が必要であり、負荷のかけすぎは怪我に繋がる場合もあるため、アスリートやトレーニング愛好家が対象のトレーニング方法です。
パートナーレジスタンストレーニングの効果とポイント
パートナーレジスタンストレーニングは、負荷をかける場所や方向、タイミングなどで様々な効果を狙うことができます。
負荷をかけるタイミングは、基本的に【遠心性(エキセントリック)収縮】の時が効果的です。
他にも【等尺性(アイソメトリック)収縮】の際に片側だけ負荷をかけることで回旋系スポーツのパフォーマンスアップを狙うことも可能です。
実際に自分の体で試しながらトレーニングメニューを作ってみてください。
パートナーレジスタンストレーニングのメニュー
今回は以下の9個のトレーニングをご紹介します。
1:下部腹筋
2 :バックエクステンション
3 :プランク(キープ)
4 :プッシュアップ
5 :ローイング
6 :アダクション(キープ)
7 :ショルダーブリッジ(キープ)
8 :アダクション×クランチ
9 :アダクション×サイドブリッジ
各種目でアプローチする筋肉と、代償動作、トレーニングのやり方を見ていきましょう。
各項目にセミナー動画の時間を記載していますので、動画で学びたい方はご活用ください。
1 :下部腹筋
腹直筋下部を意識するトレーニングメニューです。
(セミナー動画2:07'00〜)
鍛える筋肉
腹筋群下部
注意する代償動作
膝の屈曲・伸展、勢いをつける。
腹筋ではなく、ハムストリングスで無理やり上げないように注意
トレーニングのやり方
1:トレーニングをする人(以下、実施者)は仰向け、負荷をかけるパートナーは頭を跨いで立ちます。
2:実施者はパートナーの足首を持ち、膝を伸ばしたまま足を上げます。(スタートポジション)
3:実施者は2のスタートポジションから、足を真上に上げて下げるを繰り返します。
※パートナーは実施者の足首を支えて、真上に上がるようにガイドするイメージ。
2 :バックエクステンション
背筋群を意識するトレーニングメニューです。
胸椎の伸展・股関節の伸展を意識して行いましょう。
(セミナー動画2:11'35〜)
鍛える筋肉
脊柱起立筋、臀筋群、肩甲骨周囲筋群
注意する代償動作
腰椎の伸展。(股関節、胸椎の伸展を意識する。)
トレーニングのやり方
1:うつ伏せに寝て、両手をゼロポジションに置きます。(スタートポジション)
2:みぞおちを地面につけたまま、胸椎の伸展で上体を起こして下ろすを繰り返します。
3:パートナーは実施者の腰あたりに乗り、肩甲骨あたりに負荷をかけます。
※肩甲骨よりも遠位の上腕に負荷をかけるとより強度が上がります。
3:プランク
腹筋群・背筋群をバランスよく動員してスタビリティを鍛えるトレーニングです。
(セミナー動画2:17’00〜)
鍛える筋肉
腹筋群、肩甲骨周囲筋群
注意する代償動作
腰椎の伸展。翼状肩甲。
トレーニングのやり方
1:うつ伏せから両肘を肩幅よりやや広くつきます。(スタートポジション)
2:両足を伸ばして肩から踵までが一直線になるように持ち上げてキープします。
3:パートナーは実施者の後ろに立ち、腰あたりに負荷をかけます。
※両手で押すだけでなく、片手で押すなど負荷のかけ方を変えることで違った刺激を入れることができます。
4:プッシュアップ
プッシュアップの強度をさらに上げるトレーニングメニューです。
(セミナー動画3:00’00〜)
鍛える筋肉
大胸筋、三角筋、上腕三頭筋
注意する代償動作
腰椎の伸展。(体幹を一直線にしたまま実施)
トレーニングのやり方
1:肩の真下より少し広めに手をついて、プッシュアップのスタートポジションを作ります。
2:パートナーは実施者の横に立ち、肩甲骨の間くらいに手を置きます。
3:上体を降ろす時に負荷をかけ、上げる時には力をかけずに戻すを繰り返します。
※上体を上げる時ではなく、降ろす時に負荷をかけるように注意しましょう。
5:ローイング
背筋群を鍛えるトレーニングです。2人1組でタオルを使って行います。
(セミナー動画3:02’50〜)
鍛える筋肉
広背筋、上腕二頭筋
注意する代償動作
脇を開かない。
トレーニングのやり方
1:実施者とパートナーで向かい合って座り、タオルの中央を実施者、端をパートナーが持ちます。(スタートポジション)
2:実施者は背筋を伸ばしたまま、脇を締めてタオルを引き、戻すを繰り返します。
3:パートナーは実施者が肘を伸ばしてタオルを戻すタイミングで負荷をかけます。
※画像の左側の人が実施者、右側の人がパートナーです。
6:アダクション
内転筋を鍛えるシンプルなトレーニングです。
(セミナー動画3:05’10〜)
鍛える筋肉
内転筋
注意する代償動作
脚の幅と膝の幅を揃える。
トレーニングのやり方
1:実施者は膝を軽く曲げて仰向け、パートナーは実施者の膝の間に立ちます。(スタートポジション)
2:実施者はパートナーを挟み込むように、内側に力を入れます。
3:パートナーは実施者の膝を広げるように外側へ向けて負荷をかけます。
※ケガに繋がりやすいメニューなので、負荷のかけ方に注意して行ってください。
7:ショルダーブリッジ(キープ)
お尻の筋肉を鍛えるシンプルなトレーニングです。
(セミナー動画3:06’30〜)
鍛える筋肉
大臀筋、中臀筋、ハムストリング
注意する代償動作
腰椎の過剰な伸展
トレーニングのやり方
1:仰向けに寝て、足を腰幅より少し広げて膝を曲げて踵をつきます。(スタートポジション)
2:腰を持ち上げて、肩から膝までが一直線になるようにしてキープします。
3:パートナーは実施者の横に立ち、腰あたりに上から負荷をかけます。
※片側や横からなど負荷をかける方向を変えることで色々な刺激を入れることができます。
8:アダクション×クランチ
アダクションにクランチを組み合わせて、腹斜筋と内転筋を複合的に鍛えるトレーニングです。
(セミナー動画3:09’00〜)
鍛える筋肉
腹斜筋×内転筋
注意する代償動作
腰椎の伸展、頸部だけの屈曲
トレーニングのやり方
1:アダクションのスタートポジションを作り、実施者は頭の後ろで手を組みます。
2:実施者は内転筋に力を入れたまま上体を起こして降ろすを繰り返します。
3:パートナーは実施者の膝を外側に広げるように負荷をかけ、内転筋の力が抜けないようにします。
※上体を上げる時にツイストを入れることで、より腹斜筋を意識して鍛えることができます。
9:アダクション×サイドブリッジ
腹斜筋と内転筋を複合的に鍛えるトレーニングです。
(セミナー動画3:11’10〜)
鍛える筋肉
腹斜筋×内転筋
注意する代償動作
腰が落ちる。下の脚が落ちる。
トレーニングのやり方
1:実施者は横向きで下の肘を肩の真下につき、パートナーは実施者の足側で片膝立ちになります。
2:実施者は上の足をパートナーのももに乗せ、そのまま腰を上げて肩から足まで一直線の上体でキープします。この時、下の足もパートナーのももを挟むように持ち上げます。
※パートナーは乗せている足を揺らしたり、下の足に負荷をかけることで強度を上げることができます。
※膝の既往歴がある場合は、痛みが出る場合があるので注意が必要です。
パートナーレジスタンストレーニングと機能解剖
パートナーレジスタンストレーニングに限らず、トレーニングを実施する際には筋肉の起始・停止や作用・走行など、機能解剖学的な知識を持っておくことも重要です。
腹直筋
内腹斜筋
外腹斜筋
脊柱起立筋群
大胸筋
三角筋
上腕二頭筋
広背筋
内転筋群
中臀筋
大臀筋
ハムストリングス
ここまでご紹介したメニューに関連する上記の筋肉について、あなたは起始・停止・作用を覚えていますか?
機能解剖の知識を持っていないと「カタチだけのトレーニング」になってしまい、応用がききません。
逆に筋肉をしっかり理解しておくことで、メニューの応用やアレンジに対応できるようになりますので、ぜひしっかりと勉強しておきましょう!
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隙間時間を有効活用して、機能解剖の知識を深めたいという方はぜひご活用ください!
パートナーレジスタンストレーニングをおこなう際の注意点
パートナーレジスタンストレーニングは強度が高いため、不用意に行うとケガに繋がる可能性があります。
実践するには以下の注意点を必ず守って行ってください。
・既往歴を考慮する。
・筋肉の収縮形態を理解し負荷をかける。
・適切な負荷設定のためには技術が必要であることを理解する。
・代償動作に気をつける。
・セルフで行う体幹トレーニング後を推奨する。
注意点を守って、適切なトレーニングを行っていきましょう!
パートナーレジスタンストレーニングまとめ
この記事では、パートナーレジスタンストレーニングの種目と実施の注意点や応用のポイントをお伝えしました。
セミナー動画の中では、実際のトレーニングの動きやアレンジのバリエーション、よくある代償動作などを解説していますので、もっと深くパートナーレジスタンストレーニングを学びたいという方は、ぜひこちらもご覧ください!
※セミナーの冒頭部分を無料でご覧いただけます。
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