トレーナーの役割として、「トレーニング」をイメージする方も多いでしょう。
事実、トレーナーの仕事の中でトレーニングは欠かせない要素です。
今回はトレーニング指導をする上で絶対に頭に入れておかなければいけない『トレーニングの7原則』についてまとめました。
トレーニングとは?
トレーニング(training)を様々な辞書で調べると
「訓練」「鍛錬」「練習」
というような意味が書かれています。
スポーツやフィットネスにおいては、
目標とする結果を果たすために必要な「体力(運動能力)」と「技術(スキル)」の両方を高めること
を意味し、運動や環境に対する体の適応性を利用して、体の機能をできるだけ発達させることを指します。
しかしながら、
日本においては「体力(運動能力)を高めること」の方を「トレーニング」と呼ぶことが多く、トレーナーもその分野の専門家として働くことが多いため、ここでは「体力」について的を絞り、主に筋力トレーニング(レジスタンストレーニング)について解説していきます。
トレーニングの7原則
筋力トレーニングとは、骨格筋の筋肥大、筋持久力、筋出力の維持、向上を目的としたトレーニングのことを言います。
そして、筋力トレーニングを指導する上で、絶対に頭に入れておかなければいけないのが『トレーニングの7原則』です。
トレーニングの方法やツールは数多くありますが、何を選択するにしても
この『原則』に則っていなければ効果は見込めません。
ここでしっかりと基礎を固めておきましょう!
トレーニングの原則①
過負荷の原則
トレーニングの効果を獲得するためには、日常生活以上の負荷をかける必要があり、日常生活、もしくはそれ以下の負荷の場合には、身体の機能が衰える可能性があります。
例えば、
毎日普通に生活していて、ベンチプレスの挙上重量が上がるか?といえば、上がりませんよね。
そのまま負荷をかけずに生活をしていれば、筋力は衰える一方でしょう。
もっと筋力をつけたい!ベンチの重量をあげたい!
と思ったら今の重量よりも少し重くして、過負荷をかける必要があります。
日常生活以上の負荷をかけ、その負荷に身体が耐えられるようになることを、過負荷の原則と言います。
トレーニングの原則②
特異性の原則
トレーニング効果は与えた運動刺激によって異なります。
これは、目的によってトレーニングの方法は異なるということです。
極端な例をあげれば
足が速くなりたい!という思っている人が、毎日一生懸命、腕立て伏せをしていたらどうでしょう?
100mのタイムは縮まるでしょうか?きっと変わらないですよね。
足が速くなりたい!なら、そのためのトレーニングをする必要があります。
目的を明確にし、それを実現するのに最適な運動条件(負荷様式、強度など)を選択してトレーニングすることを、特異性の原則と言います。
トレーニングの原則③
全面性の原則
トレーニングをする際には、全ての体力要素をバランス良く鍛えることが大切です。
筋力トレーニングでは、部位や種目に偏りがあると、身体が悲鳴をあげ、ケガをする恐れがあります。
自分は腹筋が弱いから、とにかく腹筋のトレーニングをしよう!
とアンバランスなトレーニングをしていると腰痛の原因になることもあります。
全身の筋肉をバランス良く鍛えることを、全面性の原則と言います。
トレーニングの原則④
漸進性の原則
自分のレベルに合わない強度のトレーニングはケガを引き起こします。
またトレーニングを続け体力が一定の水準に達すると、同じ負荷では効果が現れなくなります。
ベンチプレスで50kg×10回がMAXの人が
いきなり100kgをあげようとしたら、きっとケガをしてしまいます。
では、50kg×10回を1年間繰り返したら、挙上重量があがるか?
と言われるとそれもまた違いますよね。
自分ができるトレーニング負荷から始め、段階的に負荷(強度、回数等)を高めていくことを、漸進性の原則と言います。
トレーニングをさらに学びたい方はこちら
トレーニングの原則⑤
個別性の原則
体力には個人差があるため、年齢、性差、体力水準、体格、技術レベル、健康状態、精神状態、トレーニングの目的や経験を考慮し、トレーニングを選ぶ必要があります。これを個別性の原則と言います。
簡単に言えば、
『あのプロ野球選手がこのトレーニングしていたから、自分も全く同じトレーニングをしよう!』
のような考え方は違うということです。
トレーニングの原則⑥
反復性の原則
トレーニングの効果は中断してしまうと、トレーニング前の状態に戻ってしまいます。
目的に合わせたトレーニング計画をつくり、継続して実施することを、反復性の原則と言います。
『継続は力なり!』ですね。
トレーニングの原則⑦
意識性の原則
トレーニングの効果は、目的や方法、効果を十分に理解し、鍛えている部位を意識することで向上します。
これを意識性の原則と言います。
トレーニング指導の際に、効かせたいポイントをタップすることがあります。
あれはこの原則に則ったものなんです。
筋力トレーニングの注意点
成長段階に気をつける
強くなるためには「フィジカル面の強化が大切」と、早い段階から筋力トレーニングを指導する方が多いですが、個別性の原則にもあるように、個々にあったトレーニングを行うことが大切です。
特に成長期にある子どもへのトレーニング指導においては注意が必要です。
「大人が良くなるから、子どもも良くなるはず」と同じ対象として捉えず、成長段階にあったトレーニングを実施するようにしましょう。
誤った方法、負荷でトレーニングを行うと大きなケガに繋がる恐れもあります。
強度設定に気をつける
「重さを上げられる方が強い」という印象を持つ人が多いため、無理に強度を高める人が多くいますが、漸進性の原則にもあるように、徐々に負荷を高めていくことが大切です。
重量(負荷)、反復回数、セット数、休息時間等を考慮して、個々にあった強度のトレーニングを指導するようにしましょう。
精神面も考慮する
人間は骨や筋肉などの損傷を防ぐため、脳で意識的に発揮できる力を抑制するためのリミッターをかけています。
火事場の馬鹿力とも言われるように、危機的状況にならない限り100%の力を発揮することが出来ません。
このことを「心理的限界」と言います。
それに対して人間が本来持っている力を「生理的限界」と言います。
いかに「心理的限界」を「生理的限界」に近づけてトレーニングを実施するかも大事な要素です。
選手が主体的にトレーニングに取り組み、100%の力でトレーニングが出来る環境作りも大切にしましょう。
まとめ
学生トレーナーが知っておくべきトレーニングの基礎知識として、筋力トレーニングの7原則をお伝えしました。
「トレーニングとは?」の項目にも記載したように、本来の「トレーニング(training)」の意味には、体力だけでなく、技術(スキル)の意味合いも含まれます。
身体作りのみが目的であれば、筋力トレーニングを行えば良いですが、スポーツの結果を出すためという目的があるのであれば、スキルコーチと対話をし、スキル面と繋げてトレーニング指導を行うことが大切です。
選手・クライアントの目的・目標を明確にし、その結果を出すためのトレーニングプログラムを考えられるように学びを深めましょう!
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