海外でトレーナーの勉強と言われると、真っ先に思い浮かぶのが「アメリカ」ですよね。
しかし、世界中には様々な形で「トレーナー」という役割が存在します。
今回は、サッカーの本場「イングランド」で行われたトレーナー研修について、発起人の一人である森川さんにお話を伺いました!
森川さんのご紹介
名前
森川稔之(もりかわとしゆき)
年齢
32歳(1986年生まれ)
出身
神奈川県
出身校
日本大学、東京スポーツ・レクリエーション専門学校
プロフィール
高校、大学とサッカーを続けていたが大学3年生の時、プレー中に肩を脱臼。半年間に及ぶリハビリを経験する。
自分自身が怪我で辛い思いをした体験やトレーナーとの出会いから「ケガによって辛い思いをする選手を1人でも減らしたい!」とトレーナーの道を志す。
大学卒業後、トレーナーを目指して専門学校へ進学。当時、現役合格率10%以下という難関資格「日本体育協会公認アスレティックトレーナー」の資格を現役合格。卒業してすぐフリーのトレーニングコーチとして活動を開始する。
2014年には、社会人女子ラクロスチーム「CHEL」のトレーニングコーチとして、東日本リーグ優勝に貢献した。
また、スポーツチームへの指導だけでなく、一般の方へのパーソナル指導や専門学校の講師、セミナー講師など幅広く活動している。
サッカー発祥の地「イングランド」でのトレーナー研修
ーーどんな海外研修に参加しましたか?
イングランド フィジオ(トレーナー)研修に1週間参加しました。
※イングランド フィジオ(トレーナー)研修についてはこちらから
100年以上サッカーの歴史があるイングランドのクラブチームや、ラグビーチームの施設に入り、実際にフィジオやスポーツセラピストがどんな施術やトレーニング、コンディショニング指導をするのかを目の前で見学させて頂きました。
また監督やスポーツサイエンティスト、フィジオと一緒にお話しする時間も設けて頂き、チーム全体でのコンディショニング管理や、リハビリの選手がモチベーションを保つためにどんな対策をしているかなど、様々な取り組みのお話しを聴くことが出来ました。
トレーナー研修の定番ではない「ヨーロッパ」という選択肢
ーー海外研修に行くことになった経緯を教えてください
日本のトレーナー研修の定番はアメリカですけど、サッカーの本場はヨーロッパですよね。
「なんとかヨーロッパ、特にサッカー発祥の地であるイングランドの伝統あるクラブで、トレーナーの技術やシステムを学ぶことは出来ないか?」
そんなことを考えていたところ、現在イングランドでプレーしている選手や、サッカースクールを運営している会社が「ぜひそれを形にしましょう」と協力してくださり、イングランドのフィジオ研修を実現することが出来ました。
意外に美味しかった「イギリスの食事」
ーー海外研修中の現地での生活について教えてください。
研修期間中は、イーリング区というロンドンの西部に位置する地区のホテルに宿泊しました。
この地区は日本の企業の駐在員が多く住んでいるため治安もよく、日本人のコミュニティーも発達しているので、安心して滞在することが出来ます。
「イギリスは食事が美味しくない」と、旅行で行った方々から聞いていたので不安でしたが、ロンドンオリンピックをきっかけに外食の味も見直されたようで、どのお店に入っても美味しい料理をいただくことが出来ました。
現地でガイドをして下さったスタッフの方のお陰でもあります。
3月に行く場合の天気は曇りや雨が多く、朝や夜は寒いので雨具や防寒着を持って行くことは必須です。
スタジアムでサッカー観戦をしても風邪を引かないように準備をしてください。
関わる人みんなで選手を支える文化
ーー海外研修の中で心に残っていることはなんですか?
抽象的ですが「みんなで選手を支えよう」という文化です。
「両チームの選手がベストな状態で試合をするために、メディカルスタッフが持っている知識や情報はみんなで共有すべき」
という、FIFA公認のクリニックIsokineticのマネージャーの言葉にも現れているように、どこに行ってもスタッフの方達がチームの取り組みを包み隠さず教えてくださり、「日本ではどんな取り組みをしているんだ?」と逆に質問されることも多くありました。
イギリス人だけでなく、様々な国籍の人がクラブに所属し、チームそしてリーグを作り上げているからこそ、このような文化が根付いているのではないかと思います。
自分自身も今回の研修で得た情報や、様々な知識をシェアする機会をより多く作っていきたいと感じました。
陸続きのヨーロッパならではの伝統とスポーツ文化
ーーその海外研修に行ったことで何が得られましたか?
プロサッカーチームやラグビーチームに所属するフィジオやスポーツセラピストの知識、技術は勿論のこと、100年以上の「クラブスポーツ」の伝統と、スポーツ文化を肌で感じられたことが大きな収穫でした。
陸続きの欧州のクラブでは様々な国の選手、そして支える様々な国のスタッフが活躍し、そのクラブの伝統を創り上げています。
そこで活躍する人達は「どんなプラスな影響をクラブに与えらえるか」を考えて仕事をしていました。
日本人の手先の器用さや規律を重んじる性格を持ってトレーナーをすれば、クラブに大きな影響を与えらえれるのではないかと感じます。
このトレーナー研修が、トレーナーを目指す学生の欧州に飛び出すきっかけになれば嬉しい限りです。
世界を知るから日本がわかる
ーー今、海外研修を考えている学生へメッセージ
日本のトレーナー制度は、アメリカのアスレティックトレーナーをモデルにしているため、トレーナーの海外研修というとアメリカのイメージが強いですよね。
しかし、ヨーロッパもフィジオやスポーツセラピストという職で、日本のトレーナーの役割を担っている人がいます。
「井の中の蛙大海を知らず」ということわざが現すように、日本のトレーナー制度や技術だけを知って満足することなく、様々なスポーツ、国のトレーナー文化に触れることで、日本のトレーナーの良さ、そしてより良くなるための改善策を見つけ出すことが出来ます。
インターネットや交通網が発達した現在だからこそ、トレーナーも世界的な視野で情報を得ることが必須です。
グローバルに情報を得て、母国である日本を良くするためにアウトプットが出来る人財になっていきたいですね。
異文化に触れつつ勉強することはとても大きな刺激になるので、ぜひ学生のうちに海外研修に参加してみてください!
■次回のイングランドトレーナー研修について興味のある方はこちらをご覧ください。
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