「留学で基礎知識が染み込んだ」アメリカ大学院在学生にインタビュー

順天堂大学を卒業後、本場のアスレティックトレーニングを学ぶために渡米。

現在はアメリカ・インディアナ州のインディアナ州立大学大学院/修士ATプログラムに所属している小山さんに留学の実際についてお話を伺いました!

小山さんのご紹介

名前

小山あずみ(こやま あずみ)

年齢

25歳(1993年生まれ)

出身

神奈川県

出身校

順天堂大学2016年卒
Indiana State University Master of Science in Athletic Training (2019年卒業予定)

どこへ留学に行っていますか?

 


現在、アメリカのインディアナ州にあるインディアナ州立大学大学院の2年目に在籍しています。

日本で順天堂大学スポーツ健康科学部を卒業し、アスレチックトレーニングを学ぶため渡米しました。

この大学院を選んだ理由は、

  • Division 1 athletics(D1でfootball, soccer, swimmingが揃っていることを条件にしていました)
  • 州立なので比較的学費が安い(と言っても高いですが)
  • 歴史のあるプログラムなので卒業生が多くいること
  • 田舎なので生活費が安いこと
  • BS、MS、DAT、PhDとATの教育が幅広いこと
  • DPTやOT、PA(Physician Assistant)のコースも同じ学部に入っているので
    他教義間の情報交換(interdisciplinary/interprofessional educationと言うのでしょうか)ができると思ったこと
  • プログラムの教授陣がとても親切だったこと

という多くの条件に魅力を感じたからです。

どんな経緯で留学に行くことになったんですか?

昔から異文化交流に興味があり、アメリカへ留学することに憧れ中高生の頃から調べていたんです。

幼い頃から競泳をしていたので、怪我をすることも多く、身体の仕組みについてもっと知りたいと思うようになり、中学3年の時にアスレチックトレーナー(AT)という職があることを知りました。

ATは元々アメリカから来た職だということもその時に知り、その頃から、高校卒業後にアメリカで学ぼうか、日本の大学を卒業してからにしようか考えるようになりましたね。

高校生の時に、新聞の記事に載っていた、女性として初めてNFLで雇用された磯有理子さんのインタビューを読んでその人生観に共感したこと。

また、ATとして傷害予防や怪我をしたアスリートが着実に復帰できるプロセスに携わりたいなと改めて思うようになりました。

そして高3の時に、日本のアスレチックトレーニングを学んでから将来本当にATとして働くかどうか決めよう、と思い順天堂へ進学しました。

大学では、日本人で初めてATになられた鹿倉二郎先生と出会いアメリカのAT教育を感じる機会を多くいただいたこと。また、スポーツ業界以外で働く大人や他の職に進む友人と関わって“私が本当にやりたいことは何か”を考える時間が多くあったことが今実際に留学をする後押しをしています。

留学の費用はどのくらいかかりましたか?

留学前の準備と留学中にかかっている費用・項目をまとめると以下のような感じです。

準備→ ($1000-3000) + 渡航費 ($900-1500)
-出願料
-英語の準備(GRE&TOEFL試験料)
-成績証明書発行手数料・成績変換手数料
-パスポート・ビザの発行料
-渡航費
-Pre-requisite (追加で取る必要があれば)
-英語の勉強に使った費用

留学中:
-
学費($21500-26000/年)
州立大学なので、州の学生はこれの半額です。他の大学と比べると安いですが、大学内で出願できる奨学金が少ないためそれを考えて比べるとどっこいどっこいです。)
-
生活費(食費や家賃、保険料など含め6-7/月くらい。)
-
車($1500-10000くらい。その人の資金によります。)
-
学会旅費(車のガソリンや、宿泊費、食費: 大学のプログラムの資金があれば、補助をいただけたりします。)
-
休暇の帰国渡航費(年末など)
-
生活用品(家具や家電)

留学中の現地での生活について教えてください

 

月曜から金曜の午前中は授業があり、午後は実習先へ行きます。
現在は、近くの私立大(D3)の大学にて、男女サッカーで実習を行っています。

授業と実習以外の時間は、課題や進路の情報収集、授業以外で興味のある勉強、家事に時間を使っています。

実習先によっては、朝5時すぎに家を出たり、週末の試合の夜は帰宅が日を跨ぐこともあります。

私が渡米した際、現地にすでに日本人の先輩が1人と同級生になる日本人が1人いました。

おかげで、現地に到着する時には住む場所もあり、移動や食事、保険や車、勉強のことなど、本当に何から何までお世話になりました。

生活に関しては何も苦労はなく、本当にスムーズにいったため、とても恵まれていると思います。

学業に関しては、初めは英語が全く聞き取れず話せず、授業中はBGMを聞いているかのように英語が右から左へ流れていき、カオスでした。

実習で患者とコミュニケーションを取る時も、聞いたはいいけど何と返されているのかわからない現象がしばらく続きました。しんどかったです。

しかし、教授の方々がいつも気にかけてくださり、クラスメートも穏やかな人ばかりで、おかげで勉強や実習につまづいても相談しながら乗り越えることができました。

留学の体験を通して心に残っていることはなんですか?

毎学期にある実習は一番心に残ります。

指導教官のATとAT学生と選手やコーチと毎日の午後を過ごすわけですが、長時間一緒に過ごすことで、とても深い想い出ができます。

前の学期は大学のアメフトで実習をしており、早朝マイナスの気温の中(−19℃の日もありました)、トリートメントをしに大学へ行っていたのは印象に残る思い出です。

学生トレーナーの皆と、毎朝眠い中励ましあっていたのも記憶に残っています。

昨年高校へ実習に行く途中の道交差点手前で車が突然動かなくなったことは、印象に残るもうしなくてよい体験です。笑

アメリカへ来て1年と少しなので、いまだに毎日初めてのことに出くわします。

留学したことで何が得られましたか?

勉強に関して言うと、基本的なことが身にしっかりと染み込むまで学ぶことができます。

日本ではあまり深く学ばなかった、 Therapeutic Modality(電気、温熱、冷却などの治療法)やPharmacology(薬学), Administration(運営)は私が面白いと思った授業です。

また、これは日本のAT教育にも含まれてはいますが、Emergency Careに関してもかなり学びます。
熱中症、頚椎損傷、脳震盪、怪我の救急処置について一番初めの1学期間を通して主に学びました。

日本で受けたAT教育と、色々と比較しながら日々過ごすことが多く、もし私が日本へ帰って教育に携わることができた時を想像すると、持って帰りたくなる内容ばかりです。

勉強以外だと、アメリカの文化や教育を知り、日本のことを客観的に知り、世の中のことを大きく捉える人生でとても大切な経験になっています。

また、日本にいる友達や家族や犬もいつも応援してくれて、直接会うことはなかなかできなくても心強い存在だと、遠くにいるからこそそのありがたみを感じることができます。

まだアメリカへ来て1年ちょいなので、これからもっと知らないことを知る機会があると思うと、楽しみです。

今、留学を考えている学生へメッセージ

もしこれからアメリカへAT留学を考えている学生さんは、ビザに関して良く自分で調べアップデートすること(年々ルールが変わるので、人の情報が常に正しいわけではありません)

卒業後を見据えてカリキュラムを選ぶこと、

医者やPT、その他の医療資格と比較してなぜATになりたいのかはっきりさせること、

日本にいる家族はどうなるのか、

お金など、目標を追うために向き合うべきことを見据えて一つづつクリアにしてから留学することが大切だと思います。

出願作業や英語に苦労する学生さんが多いかと思いますが、乗り越えられないことはないと思います。

下のURLに私がISUに合格した後に書いた、出願作業に関するブログがあるので、良かったら読んでみてください。

http://blog.livedoor.jp/japanese_at_students/archives/1064807937.html

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